遠野:今 振り返れば、きっとあの人も振り返ると強く感じた
(中央総武最終電車 東京行きが到着します)
お母さん:お正月までいればいいのに
アカリ:うん...でも色々準備もあるから
お父さん:そうだな 彼にもうまいものを作ってやれよ
アカリ:うん
お母さん:何かあったら電話するのよ アカリ
アカリ:大丈夫よ 来月には式で会うんだから、そんなに心配しないで。寒いから、もう戻りなよ
アカリ:ゆうべ 昔の夢を見た
私も彼も、まだ子供だった
きっと、昨日見つけた手紙のせいだ
(メール
「こんにちは遠野くん。
ちょっとお久しぶりですね。
お元気ですか?
ずいぶん迷ったのですけれど、やっぱり私は遠野くんに伝えなければいけないことがあります。」
男:水野さん
水野:あっ、はい
男:ミーテイングいいから
水野:はい
遠野:ただ 生活をしているだけで、哀しみはそこここに積もる
日に乾したシーツにも、洗面所の歯ブラシにも、携帯電話の履歴にも
「あなたのことは今でも好きです」と
三年間付き合った女性はそうメールに書いていた
「でも私たちはきっと、1000回もメールをやりとりして、多分心は1センチくらいしか近づけませんでした」と
遠野:この数年間 とにかく前に進みたくて
届かないものに手を触れたくて、それが具体的に何を指すのか
ほとんと脅迫的とも言えるようなその想いが
どこから湧いてくるのかも分からずに僕はただ働き続け
気づけば日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった
そしてある朝
かつてあれほどまでに真剣で切実だった思いが
綺麗に失われていることに僕は気づき
もう限界だと知ったとき
会社を辞めた
遠野:昨日 夢を見た
アカリ:ずっと昔の夢
遠野:その夢の中では 僕たちはまだ13歳で
アカリ:そこは 一面の雪に覆われた広い田園で
遠野:人家の灯りは ずっと遠くにまばらに見えるだけで
アカリ:振り積もる新雪には、私たちの歩いてきた足跡しかなかった、そうやって
遠野:いつかまた、一緒に桜を見ることが出来ると
アカリ:私も彼も なんの迷いもなく
遠野:そう 思っていた
posted @ 2007-10-29 13:57
無晴舞雨 阅读(852)
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